正面の弁財天と、その両脇に阿弥陀如来と
如意輪観世音菩薩が並んで祀られることは他に類を見ず、
他真言宗寺院で三体の同様の作例もないことから、
大願寺特有の事情により祀られるに至ったと考えられます。
また現在のこの三体が祀られる部屋は、
三方の白壁、天井がすすで真っ黒になり、
天井には排煙口があることから、かつては
炉を構え火を焚き護摩の修法を行っていた様子が伺えます。
以上のようなことから、明治初期の廃仏毀釈の混乱な中、
現在のような形で祀られるようになったと考えられます。
現在この三体が祀られている場所は、上段の間というお部屋です。
このお部屋だけ最も上手に当たる部分の床が
一段高くなっていることで大願寺広間の最も上座であることを示し、
来客をもてなす際に使用されていました。
古い日本家屋の設えとして広間には上座・下座が設けられ、
目上の方やお客様をもてなす際に上座にてお迎えをします。
その上段部分に釈迦三尊をお迎えし即席の仏間として
祀った様子を察するに、当時の廃仏毀釈の混乱の様相を
垣間見ることができます。